• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

新着情報

書評「ブルーインク・ストーリー 父・安西水丸のこと」 清々しい寂しさを感じる本。

ブルーインク・ストーリー 父・安西水丸のこと [ 安西 カオリ ] 安西水丸の長女によるエッセイ集。 父の思い出を語る文章は、時にその人柄を感じさせ笑みが漏れつつ、 会えない人を思う寂しさが滲んで、切ない。 しかし、ジメ …

2025年6月14日 /
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書評「人生を救え」 人生相談パートは面白いのに。

人生を救え! (角川文庫) [ 町田 康 ] 本書前半の、町田康が担当した新聞紙上での人生相談部分は面白いんです。 どの相談にも正面から受けながら、飄々と流すような素振りでと思いきや、 しっかりと結論を言う。 町田康の人 …

2025年6月7日 /
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書評「最低」 女を描くことで男を描き、男を描くことで女を描く。

最低。 (角川文庫) [ 紗倉 まな ] (この投稿をしている2025年5月現在では)現役AV女優による、すごく真っ当な印象の短編集。 その職業を切り離したとしても一冊の本として素直に楽しめるし、 その職業に就いているか …

2025年5月24日 /
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書評「成瀬は天下を取りにいく」 読書好きとして嬉しかった大ヒット。

成瀬は天下を取りにいく [ 宮島 未奈 ] 近年珍しいくらいの爆売れ小説ですよね。 収められている短編はどれも読みやすく、面白く、気分が良くなります。 読んでみると「そりゃ売れるわ」とも思うし「これが売れる世の中で良かっ …

2025年5月17日 /
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書評「手と目と声と」輪郭の見える短編集。

手と目と声と【電子書籍】[ 灰谷 健次郎 ] 灰谷健次郎による柔らかく率直な言葉で綴られる4つの短編は、 体感したもの、心に生じたものを飾り立てることなく示していました。 人の生活に残酷なまでに自然と根づいてしまう差別や …

2025年5月10日 /
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書評「新しい恋愛」 織り込まれ、練り込まれた感情。

新しい恋愛 [ 高瀬 隼子 ] 芥川賞作家、高瀬隼子によるとてつもなく惹き込まれる一冊。 短編5篇。その中に5種類の感情、5種類の恋愛が描かれているどころか、 もっと多様で多数の気持ちが織り込まれ、練り込まれ、 複雑なも …

2025年5月4日 /
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書評「キラキラ」 国民的作家の問題意識と使命感。

キラキラ (やなせたかしの名作えほん 5) [ やなせたかし ] 「アンパンマン」でお馴染み、やなせたかしの絵本。 朝ドラ「あんぱん」の影響もあっての復刊と思われます。 帯には今田美桜さん。 私はずっとこの作家のバイタリ …

2025年4月26日 /
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書評「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」 想いを救い上げるような言葉。

ここで唐揚げ弁当を食べないでください [ 小原 晩 ] 私家版が主に独立系書店などで話題になっていましたが、 エッセイを17篇も追加収録して商業出版されました。 都会に一人佇む時の不安、誰かの傍にいる時にも自分のことをあ …

2025年4月12日 /
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書評「朱色の化身」リアリティーが導く美しい終着。

朱色の化身 (講談社文庫) [ 塩田 武士 ] 芦原温泉で実際に起きた災害をモチーフにして、 作者の丁寧な取材のもと、事実と創作が見事に組み合わさり、 リアリティ溢れる小説となっていました。 作者の塩田武士が新聞記者の経 …

2025年4月2日 /
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書評「海のうた」 心に触れて溺れそうな方に。

海のうた [ 左右社編集部 ] 100人の歌人が歌った海の短歌100首。 少し自分の好みとは違う短歌でも、100首のうちの1首となると、 それはまるで海の果てしなさや底知れなさみたいなものを表す 重要な意味を持つように感 …

2025年3月23日 /
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書評「87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え」トータルで勝つための指南。

87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え [ 藤本 茂 ] タイトルから、もっと著者の人生に迫るような内容を期待していたのですが、 そういった趣旨の本ではありませんでした。 もっと実践的というか、実用的というか……。 デ …

2025年3月17日 /
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書評「法は君のためにある」 レンジの広さと敷居の低さ。

法は君のためにある みんなとうまく生きるには? (ちくまQブックス) [ 小貫 篤 ] 法律やルールといったものについて、中学生の生活にあり得そうなことを題材に考えていく本。 大会メンバーの選考方法や学校祭の使用教室決定 …

2025年3月5日 /
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