• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

新着情報

書評「彗星交叉点」 日常から拾い上げる言葉の魅力。

彗星交叉点 [ 穂村 弘 ] 穂村弘によるエッセイ集。 どのエッセイも概ね3ページ程度だが、この分量がとても小気味良いです。 街中で聞こえてきた会話、仕事上のメールの遣り取り等、日常から気になることを拾い上げる。 それら …

2024年6月26日 /
書評
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書評「クレイジーDの悪霊的失恋」 3部と4部の間を丁寧に描いたスピンオフ。

クレイジーDの悪霊的失恋 -ジョジョの奇妙な冒険よりー (ジョジョの奇妙な冒険 ノベライズ) [ 上遠野 浩平 ] みなさん、「ジョジョ」は読んでますか? 荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」は今も続く名作漫画。 202 …

2024年6月22日 /
書評
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書評「それを読むたび思い出す」 自転車で行ける範囲にあった文化。

それを読むたび思い出す [ 三宅香帆 ] 最近「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で話題の三宅香帆さんのエッセイ。 なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) [ 三宅 香帆 ] 大きく「地元」「京都」「読 …

2024年6月16日 /
書評
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書評「橋」 淡々としつつダイナミックに。

橋【電子書籍】[ 橋本 治 ] 先日、神奈川近代文学館「帰って来た橋本治」展に行ったこともあり、 橋本治の異常なバイタリティに圧倒されました。 その感覚を忘れぬうちに一冊読みたくて手に取ったのが本書。 二人の女が辿る人生 …

2024年6月13日 /
書評
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書評「肉弾」 カルデラで繰り広げられる、肉体と精神を賭けた戦い。

肉弾 (角川文庫) [ 河崎 秋子 ] 北海道別海町出身の作家・河﨑秋子の第21回大藪春彦賞受賞作。 引きこもりがちの大学生、統率された野犬の群れ、暴虐に生きる熊、 摩周湖の近隣、人が立ち入らぬ森で繰り広げられる文字通り …

2024年6月5日 /
書評
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書評「Schoolgirl」 共感と理解、受け入れ易さと受け入れ難さ。

Schoolgirl [ 九段 理江 ] 今では芥川賞作家となった九段理江の過去の芥川賞候補作「Schoolgirl」と、 デビュー作でもあり文學界新人賞受賞作でもある「悪い音楽」を併録。 「Schoolgirl」という …

2024年5月24日 /
書評
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書評「トラディション」 その視点だからこそ語られる街の在り様。

トラディション [ 鈴木 涼美 ] 鈴木涼美による、歌舞伎町と思われる街を舞台にした小説。 その界隈を題材にしたノワールものというのは多いし、私も小説、漫画、映画と親しんでいますが、 この作品はホストクラブで出納係として …

2024年5月8日 /
書評
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書評「逸見小学校」 戦時下の日常性、発掘された未発表小説。

【中古】 逸見小学校/庄野潤三【著】 ふとしたきっかけで庄野潤三の小説を読もうと思い、手に取った一冊。 第二次世界大戦の終戦間近、戦地へ赴く前に英気を養うような形で、 兵たちが校舎にて共同生活を送る様子が主人公である少尉 …

2024年5月3日 /
書評
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目黒区美術館で「刺繡少年 フォーエバー」鑑賞してきました。

目黒区美術館の解体計画に関する記事を目にしまして、 足を運ばねばならない気持ちになって行ってきました。 実際に解体されるのかは現時点ではまだ未定でしょうが、個人的には少し思い入れのある場所です。 行ってみるとわかるのです …

2024年4月29日 /
おでかけ, 美術館, 観光
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書評「おいしいごはんが食べられますように」 恐ろしくて面白い職場小説。

おいしいごはんが食べられますように [ 高瀬 隼子 ] 高瀬隼子さんの芥川賞受賞作品。 楽しい気分にはなりませんが、文句無しに面白い小説でした。 誰かの献身で成り立つ社会の中、着実に溜まっていく澱のような暗い感情はあるは …

2024年4月22日 /
書評
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書評「幼なじみ」 数十分で味わう歪で品のある想い。

【中古】幼なじみ/岩波書店/佐藤正午(単行本) 花のようなひと (岩波現代文庫 文芸290) [ 佐藤 正午 ] 私が読んだ岩波書店CoffeeBooks版の「幼なじみ」はなかなか書店で見かけないかもしれません。 文庫版 …

2024年4月17日 /
書評
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書評「稚心を去る」 言語化に優れた読書家監督。

稚心を去る 一流とそれ以外の差はどこにあるのか [ 栗山 英樹 ] もう一年以上前なのに未だにWBC優勝を思い出すと、胸が熱くなりますよね。 侍ジャパンを率いた栗山英樹監督はきっと途轍もない重圧を背負っていたことでしょう …

2024年4月13日 /
書評
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