• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

新着情報

書評「トラディション」 その視点だからこそ語られる街の在り様。

トラディション [ 鈴木 涼美 ] 鈴木涼美による、歌舞伎町と思われる街を舞台にした小説。 その界隈を題材にしたノワールものというのは多いし、私も小説、漫画、映画と親しんでいますが、 この作品はホストクラブで出納係として …

2024年5月8日 /
書評
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書評「逸見小学校」 戦時下の日常性、発掘された未発表小説。

【中古】 逸見小学校/庄野潤三【著】 ふとしたきっかけで庄野潤三の小説を読もうと思い、手に取った一冊。 第二次世界大戦の終戦間近、戦地へ赴く前に英気を養うような形で、 兵たちが校舎にて共同生活を送る様子が主人公である少尉 …

2024年5月3日 /
書評
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目黒区美術館で「刺繡少年 フォーエバー」鑑賞してきました。

目黒区美術館の解体計画に関する記事を目にしまして、 足を運ばねばならない気持ちになって行ってきました。 実際に解体されるのかは現時点ではまだ未定でしょうが、個人的には少し思い入れのある場所です。 行ってみるとわかるのです …

2024年4月29日 /
おでかけ, 美術館, 観光
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書評「おいしいごはんが食べられますように」 恐ろしくて面白い職場小説。

おいしいごはんが食べられますように [ 高瀬 隼子 ] 高瀬隼子さんの芥川賞受賞作品。 楽しい気分にはなりませんが、文句無しに面白い小説でした。 誰かの献身で成り立つ社会の中、着実に溜まっていく澱のような暗い感情はあるは …

2024年4月22日 /
書評
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書評「幼なじみ」 数十分で味わう歪で品のある想い。

【中古】幼なじみ/岩波書店/佐藤正午(単行本) 花のようなひと (岩波現代文庫 文芸290) [ 佐藤 正午 ] 私が読んだ岩波書店CoffeeBooks版の「幼なじみ」はなかなか書店で見かけないかもしれません。 文庫版 …

2024年4月17日 /
書評
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書評「稚心を去る」 言語化に優れた読書家監督。

稚心を去る 一流とそれ以外の差はどこにあるのか [ 栗山 英樹 ] もう一年以上前なのに未だにWBC優勝を思い出すと、胸が熱くなりますよね。 侍ジャパンを率いた栗山英樹監督はきっと途轍もない重圧を背負っていたことでしょう …

2024年4月13日 /
書評
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書評「街とその不確かな壁」 村上春樹からしばし離れていた方に

街とその不確かな壁 [ 村上 春樹 ] リアルタイムで新作を待ち遠しく感じ、出版されれば即座に読むことが出来る、 そういう作家の存在は自分の中で大切にしたいと思っています。 どう足掻いても夏目漱石や芥川龍之介の新作を読む …

2024年4月9日 /
書評
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書評「あなたのための短歌集」 真摯で誠実なオーダーメイド

あなたのための短歌集 [ 木下龍也 ] 誰かから送られたお題に対し、その誰かのためだけに短歌を作る。 オーダーメイドのような試みを、その誰かの許しを得て100首、読むことが出来る一冊。 自分に置き換えて感じ取れるお題、ご …

2024年4月2日 /
書評
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書評「まず、ちゃんと聴く」 部下との面談に悩む上司に。

まず、ちゃんと聴く。 [ 櫻井 将 ] タイトルにある「まず」と「ちゃんと」の意味を感じ取ることが出来る本。 万人におすすめの内容かというと、やや難しい部分もあり、頷きづらい感もあります。 しかし、この本を必要とする人は …

2024年3月27日 /
書評
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書評「老人ホームで死ぬほどモテたい」 意表を突く動揺と感動。

老人ホームで死ぬほどモテたい (新鋭短歌シリーズ 59) [ 上坂あゆ美 ] SNS等でよく目にする機会があった上阪あゆ美さんの歌集。 インパクトのあるタイトルが記憶に強く残っていて、手に取りました。 冷めた心や眼差し、 …

2024年3月23日 /
書評
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書評「おしごとそうだんセンター」 まさに大人にも子供にも

おしごとそうだんセンター [ ヨシタケ シンスケ ] ヨシタケシンスケさんのかわいい絵に惹かれて手に取った本ですが、 これが素晴らしかった! わけあって地球に降り立った宇宙人に、おしごとそうだんセンターのおねえさんが 色 …

2024年3月16日 /
書評
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書評「スモールトーク」 気持ちの表現に惹かれる

スモールトーク (角川文庫) [ 絲山 秋子 ] この小説における絲山秋子の、留まろうとする気持ちと流される気持ちの表現がすごく良いんです。 意地や矜持、直感や理屈、色んなものが混ざり合って、心も体も動き、言葉は選ばれる …

2024年3月10日 /
書評
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