2019年シーズンをもって引退した阪神タイガースの元エースが、2018年に書いた本。
私は小学生からの大の阪神ファンで、甲子園球場にてランディ・メッセンジャー(愛称メッセ)の
先発試合を見たこともあります。残念ながらその試合は好投と呼べるようなものでは無かったけれども、
メッセは阪神を支え続けた素晴らしい投手でした。
日本のプロ野球では10年にも渡り活躍し続けた、歴史上でも稀有な選手だと言えます。
そんなメッセですが、来日当初のピッチングはワイルドでパワフルという印象で、
ただそれは悪く言えば大雑把で力押しとも言えます。
そこから元メジャーリーガーの自負を打ち破り、技術を向上させていく様子は、
多くの阪神ファンを昂らせました。
この本には、そういった技術向上やプロ野球への適応の過程もしっかり書かれています。
少しマニアックなところで言うと、投手視点での日米の野球の違いも読んでいて面白いですね。
例えばマウンドの固さや、ロジンバッグの質感の違い等々。
またメッセの少年時代や家族のこと、阪神の同僚たちのことも綴られています。
この本を読むと、彼が本当に周囲に気を配り、自分を向上させるだけではなく、
周りの選手たちの力にもなりたいと考えていることがよくわかります。
そこには大雑把で力押しなんて姿はもうありません。
そして阪神ファンあるいは野球ファンならば誰もが知るメッセのラーメン好きの一面も
もちろん書かれています。
日本の食文化にも真っ直ぐにトライし、自分に合うものを見つける姿もファンに愛される要因ですよね。
WBCでも話題になった日米の野球の違い、異国で野球をやるという意味が
改めて感じられて、
そしてメッセンジャーのことをさらに好きになる素敵な本でした。
近い将来、メッセが再び縦縞のユニフォームを纏い、指導者として活躍してくれることを祈っています。