中日新聞・東京新聞での連載を書籍化した書評集。
中村文則・佐川光晴・山崎ナオコーラ・窪美澄・朝井リョウ・円城塔、6人の作家が、
9冊から10冊(うち1冊は自著)紹介しているのですが、
1冊あたり2ページ半ほどの分量なので、隙間時間に本を開いて読むのにピッタリです。
選んでいる本にも、語りのスタンスにも、6人それぞれの個性や思いが表れていて、
一つ一つの書評も楽しめますが、こうして書籍化された故の比較という楽しみ方もあります。
私が好きな伊藤たかみ「ゆずこの形見」を窪美澄さんがセレクトしていたのは嬉しかったですし、
大岡昇平「俘虜記」と夏目漱石「吾輩は猫である」を二名が取り上げていたのも興味深かったです。
個人的には朝井リョウさんの書評、どれもすごく面白かったです。
書評を読んで、その評者を知った気になるのはいけませんが、
それでも、こういう風に好きなものを評する作家が書いたものならば読んでみたいと思いました。
朝井リョウさんの近作は恥ずかしながら読んでいなかったので、近々読みます。
というように、紹介されている本に出会う機会を得られるとともに、
紹介している作家自身にも改めて意識が向く、面白い書評集でした。