中国神話に登場する「渾沌」の伝説をもとにして、
文を夢枕獏、絵を松本大洋が手がけた絵本。
40代の私にとって、松本大洋は学生時代からのヒーローです。
大学に入り、地元では知らなかった価値観や嗜好に触れて、大きく意識が動いた時期、
私の書棚には松本大洋の漫画がどんどん揃えられていきました。
今も連載が始まればチェックし、新巻が出れば購入しています。
そんな私ですが、正直なところ、この絵本は書店で目にするまで全くのノーチェックでした。
2019年に発売されていたというのに、知らずに過ごしていました。
絵本というのは、大人の意識から漏れ落ちてしまうことが多いものです。
夢枕獏の飄々として面白味のある言葉に、
松本大洋の最近よく描かれるタッチ、ふんわりとした絵がとても合っていて、
素敵な絵本になっていました。
子どもには「こんとん」という言葉をはじめ、文章の響きが面白く聞こえそうですし、
この二人が組んでいるのですから大人も楽しめる内容です。
一般的な絵本程度のページ数なので、すぐに読み切れてしまうものですが、
そのさらりと終わる感覚が、この絵本のもの悲しさや可笑しみには、しっくりきます。
夢枕獏ファン、松本大洋ファンにはきっと私と同年代の方が多いと思います。
発売されていることもご存知ない方もいらっしゃるでしょう。
是非、見かけたら手に取ってみてください。