三人称青春群像劇、と括ることは可能なのでしょうが、
きっとその括りからイメージされるものと本作はかなり趣が異なると思います。
三人称視点で語られる、高校生たちの距離感と自己同一性を考える小説、といった印象です。
主な登場人物は男子学生三人と女子学生三人と、学生ではなさそうな男子一人、あとはその家族たち。
この男子と女子が、クラスの中心に馴染めてなさそうである一方で、
馴染まないことを選択している様子なのが面白い。
ただ、正直なところ、内容や構造を全て損ねていると感じるくらいに、
本作は個人的に読みづらい文章で書かれていました。

意図して、一般的に漢字で書かれる言葉がひらがなになっているんですよね……。
これだけならば三人称とはいえ視点が高校生に寄り添っているからと捉えられなくもないのですが、
ひらがなで書かれている語よりも難しいだろう漢字はそのまま漢字表記だったりするので、
どうにも理由がわからないし、読みづらいのです。
法則性はわかる気もするのですが、有効性を感じられない。
例えば、
彼→かれ
自身→じしん
となっているのに、
安堵、動揺は漢字のまま。
この混在がものすごく読書を阻害するんですよね……。
また文中に時々未来に関わる言及が出てくるのも、読みづらい。
三人称とはいえ、視点は現在の登場人物たちの傍にある様子である故、
この言及がどうにもリズムを乱しているように思えます。
これらは意図的な試みなのでしょうが、私にとっては非常に逆効果。
文庫本の裏表紙には「斬新な文体」と記されているが、個人的に文体には斬新さを求めていません。
興味のある素材を、あまり好きではない調理法で料理されてしまったような
もやもやとした感覚で読み終えてしまいました。
この作者の別の作品は楽しんだ記憶があるので、
とにかく文体の試みが個人的に合わなかったのが残念でした。
この「斬新」という言葉、心の底から求めている時代もあったんですけどね、
今の自分には少し警戒を強めてしまう言葉になってしまいました。

