強面俳優と知られた松重豊さん、今ではドラマの影響で食道楽のイメージが強いですよね。
ご本人はドラマのような大食感ではないと仰っていましたが、
このエッセイを読むと食べ物に強い関心があるのがよく伝わります。
ただ、いけ好かない蘊蓄や拘りというのではありません。
もっと素直な気持ちで読める美味い飯の記憶です。
食べ物に関する記載の前に、前段として語られる思い出や小噺っぽい部分がとても魅力的な文章。
俳優としても、きっと人間としても多くの言葉に触れてきたからこその、
グッと引き込む言葉と展開があります。
添えられたイラストは旭川在住のあべみちこさんによるもの。
このあべさんは私と同郷、釧路出身。
そのためイラストで取り上げられている食品、私にとってはとても馴染みがあるんですよね。
そんなわけで、文章でもイラストでも心を掴まれる、素敵な一冊でした。
ヒット中の映画「孤独のグルメ」で松重さんの魅力に惹き込まれた方も多いでしょう。
役者としてはもちろん、監督としてもご活躍ですが、
この本を読むと、文筆家としても魅力あふれる方だとよくわかりました。