帯に「才能と絶望と恋と友情をめぐる青春小説」とあります。
それはまぁ、そうなんですけど、この恋と友情のフラフラして、ふわふわして、の質感が面白い。
ただ同時に苛立ちも感じました。

タイトル通り、ショパンコンクールについての描写や、
演奏に関する登場人物たちの所感が度々綴られているのですが、
門外漢の自分にとってはなかなか理解し切れない部分が多い。
感じるのは登場人物たちの意図的な責任感の欠如です。
狙って書かれたものでしょうし、その浮ついた感覚がこの小説の面白さに繋がっています。
しかし、ある程度の年齢に達したものからすると、そこに若干の憤りは感じてしまうし、
昔を懐かしんで親しみを覚えることもありません。
年齢特有の無責任さとするには、少し欠け具合が大きいように思うんですよね。
ヒロインの魅力は理解できるのですが、実際にこんな風に振る舞われたら、
人間関係を壊しにかかっていると捉えられても不思議ではない。
総じて、登場人物たちに好感を持てず、
にも関わらず小説としては面白く感じる部分もあるという不思議な気分で読み通しました。
あと、少し前に「しき」を読んだときにも感じたのですが
個人的に、この著者の漢字とかなの使い分けがどうにも合いません、
「しき」だけでの意図だと思っていたのですが、
たこの小説も同様だったので、幾つかの著作に共通した特徴なのかもしれません。
先日、テレビドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」を観ていたのですが、
町屋良平の「1R1分34秒」について図書館で話すシーンがありました。
あの小説は面白かったですね。
確か「しき」や「ショパンゾンビ・コンテスタント」と
出版の時期はあまり離れていなかったように思うのですが、
明確に私の中では異なる読後感でした。
青春を扱うものに対して、私のスタンスが老いと共に厳しくなってきたということなのでしょうか……。

