それぞれ魅力あるバンドのボーカリストである5名がバンドや活動の動機等について語る内容。
バンド論とは銘打たれているが、そこだけに留まらず、音楽に対する思い、
バンドメンバーとの関係性、自身が好きなバンド等々、インタビューは広がりを持つ。
この5つのバンド、私がライブに行ったことがあるのは3つ。
そのフロントマン3名についてならば、かなりパブリックなものも個人的なものも
イメージとしてはあるのですが、このインタビューはそのイメージを裏切りません。
こんなことは言わないで欲しいなってことは言わないし、
こんな風に思っていて欲しいなって期待に沿ってくれる嬉しさがあります。
きっとロックスターってのはそういうものだと私は思います。
読んでいて、総じて感じたのは言語化能力の高さですね。
五つのバンドはどれもロック好きから比較的好かれているバンドだと思うんです。
それはオリジナリティだとか活動内容という点で。
ただ、音楽的な感触とか詞の雰囲気はそれぞれかなり異なる印象です。
そんな五人が、それぞれ語る言葉はやっぱり質感が大きく異なるのですが、
どのインタビューもすごく内容が伝わりやすいんですよね。
感覚的なことであったり専門的なことであったり、なかなか門外漢には理解しがたいことでも
言葉として発し、文字に起こした時に、言わんとしていることが伝わるんです。
散文とも韻文ともやや違う作詞に携わることの多いフロントマンには、
こうしたインタビューでもやっぱり伝える力があるのだなぁと強く感じました。
この本、表紙の美しさもさることながら、写真の添えられ方も素敵です。
もしもサカナクション、bonobos、くるり、サニーデイ・サービス、
ザ・クロマニヨンズのファンでまだ手に取ったことが無い方がいましたら、
一度書店などでパラパラと捲ってみてください。