著者はみな知っての通り、現役アイドルでNEWSのメンバーである加藤シゲアキ。
「オルタネート」「なれのはて」は直木賞候補作にもなっているくらいですので、
作家としての側面、魅力は既に定評があるでしょうが、
小説一作目がこの作品でした。
しばらく執筆経験を積んでの「オルタネート」と比べると、
あまり良くない意味での若さは感じます。
せっかく良いストレートを投げられるのに、どうも変化球ばかり投げてくる。
そんな印象で小説が進みます。
とはいえ、面白くないわけではなく、むしろ先が気になり、ページをどんどん捲りたくなりました。
それ故に、もっと直球も織り交ぜた投球であれば、
格段に良い内容になったのではないかと思うのです。
多彩な変化球を見せたかったのか、あるいは直球にまだ自信を持てなかったのか……。

構成に力を入れているのは伝わるが、それが伝わり過ぎる気はしますね。
構成を大切にするあまり、文章が時々縛られているように感じるのです。
著者がよく知る芸能界を舞台にしているのはある程度、功を奏していますが、
それ故に芸能界に対して妙に素っ気ない表現もあって、なんだかこそばゆい。
自身の立ち位置と職業に意識的であることから抜け出してしまえば、
必要以上の力みが消えてもっと良い作家になりそうだぞと感じさせる処女作。
そして、多分その期待はどんどん満たされていくんだろうなと今の活躍が物語っていますよね。

