安西水丸の長女によるエッセイ集。
父の思い出を語る文章は、時にその人柄を感じさせ笑みが漏れつつ、
会えない人を思う寂しさが滲んで、切ない。
しかし、ジメジメとしたものではなく、清々しさが印象に残るのは
イラストからも感じる安西水丸のスッキリとした人間性もあってのことでしょう。
中札内についての章があり、道東出身者としてはとても嬉しく感じました。
緑あふれる気持ちの良い景色は青いインクがよく似合う気がしますね。
あの素敵な場所の名が氏のイラストを愛する人々の記憶に残ってほしいです。
氏が愛した様々なものを知ることができ、
多様でありながら通底するものが窺い知れて、
一冊通しての楽しさもありました。