「ホワイトラビット」伊坂幸太郎。
大河ドラマ「どうする家康」での印象的なフレーズ”白兎”を耳にして、
この小説を思い出したので、ご紹介します!
仙台で起きた人質立てこもり事件。
しかし、立てこもりが起きるに至った経緯にも事件があって、
犯人にも人質にも事情や思惑があり、そして
立てこもりが続く間にもその事情に関する事件は起きていて……。
複数の登場人物の生業や思惑が事件を引き起こし、
その終焉に向け作用し合っていく展開は、
この作家の得意なものだと思います。
今作はやや語りに説明的な部分が多く、
前半はそこが気にかかり、集中力が削がれる思いがありました。
しかし、後半の怒涛の展開は見事で、ページを捲るスピードがどんどん速くなります。
血は流れるし、被害者だって存在するのに、
どこかコミカルな感覚があるのは、
活躍する悪党たちに愛嬌があるからでしょうね。
冬の星座であるオリオン座をモチーフの一つにしていることもあり、
寒波で出歩きづらい時期の読書にピッタリだと思います。