• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

「ホワイトラビット」伊坂幸太郎。

大河ドラマ「どうする家康」での印象的なフレーズ”白兎”を耳にして、

この小説を思い出したので、ご紹介します!

仙台で起きた人質立てこもり事件。

しかし、立てこもりが起きるに至った経緯にも事件があって、

犯人にも人質にも事情や思惑があり、そして

立てこもりが続く間にもその事情に関する事件は起きていて……。

複数の登場人物の生業や思惑が事件を引き起こし、

その終焉に向け作用し合っていく展開は、

この作家の得意なものだと思います。

今作はやや語りに説明的な部分が多く、

前半はそこが気にかかり、集中力が削がれる思いがありました。

しかし、後半の怒涛の展開は見事で、ページを捲るスピードがどんどん速くなります。

血は流れるし、被害者だって存在するのに、

どこかコミカルな感覚があるのは、

活躍する悪党たちに愛嬌があるからでしょうね。

冬の星座であるオリオン座をモチーフの一つにしていることもあり、

寒波で出歩きづらい時期の読書にピッタリだと思います。


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