• 四十代夫婦が綴る書評と雑記
奇跡のバックホーム

阪神タイガースを背負って立つ選手になるはずとファンから将来を嘱望されながら、

脳腫瘍との闘いにより、プロ野球選手としてのキャリアを6年で終えることとなった横田慎太郎の本。

素直な想いと言葉で綴られる闘病の日々、

阪神ファンのみならず野球ファンの胸を打った「奇跡のバックホーム」までの道程。

阪神ファンであり、横田が主軸を担う日を楽しみにしていた私にとって心揺さぶられる一冊でした。

プロ野球ファンには背番号にロマンを感じる人が多いと思います。

例えばイチローの「51」、大谷翔平「17」等の皆がイメージする番号、

そして日本ハムでダルビッシュ有が背負った「11」をその後は大谷が背負ったというストーリー等、

一部のファンは数字に強い思い入れがあります。

かくいう私もその一人で、コインロッカーの番号からもその番号を背負う選手の顔をイメージします。

さて、横田慎太郎の背番号は「24」でした。

この番号は阪神ファンにとって大きな意味を持つ番号です。

スター選手、桧山進次郎の番号だったんですよね。

そしてこの「24」を横田が付けるということに、私は何の文句もありませんでした。

それだけの期待を抱かせるだけの将来性がある選手だったのです。

その横田がある時期から姿を見せなくなったことを私は明確に覚えています。

当初は脳腫瘍という病名が明かされなかったため、ファンの中では疑問や不安が渦巻いていました。

あれは間違いなく横田への大きな期待ゆえの動揺でした。

この本にはその時期のことも書かれていますし、背番号についての本人の想いも書かれています。

脳腫瘍がどのように横田から野球を奪っていったのか、

それに対し、横田やご家族がどう立ち向かっていったのか、

読んでいると胸が苦しくなり、そして熱くなります。

あの素晴らしいバックホームが持つ大きな意味がこの一冊には記されています。

阪神タイガースという球団や、選手や監督にコーチのことも書かれていますので、

阪神ファン、そしてプロ野球ファンの方々にも読んで欲しいです。

横田慎太郎という背番号「24」を付けた選手がいたことを忘れませんし、

この先の横田の活動が素晴らしいものとなることを心から祈っています。

(ファンとして、敢えて呼び捨てで書きました。「横田、打ってくれ」と幾度も声援を向けていたので)

※追記 この記事をアップしたのが2023年7月12日でしたが、7月18日、横田慎太郎さんがご逝去されました。横田選手の縦縞を纏った勇姿、忘れません。ご冥福を心からお祈りいたします。


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