穂村弘によるエッセイ集。
どのエッセイも概ね3ページ程度だが、この分量がとても小気味良いです。
街中で聞こえてきた会話、仕事上のメールの遣り取り等、日常から気になることを拾い上げる。
それらを考察し、少し毒気はあっても嫌みがない楽しい文章にする。
着眼点はもちろんのこと、連載し、こうして一冊の本になるというところも素晴らしいです。
楽しい聞き間違い、奇妙な言い回し、忘れられていく語彙、
誰の日常にもあり得そうなことを見つけて興味深く感じ取ることの面白さが
この本には散りばめられていました。
言葉の魅力に浸りたいのに、なかなか世事に絡めとられて、そうもいかない人も多いはずです。
それ故に、世事に分類されるようなことからも言葉の魅力を見つけ出す様が書かれた
この本は、多くの読書家に温かい気持ちを齎すように思います。
ちなみに著者と同じく北海道出身の私には、にやにやとしながら頷けるエピソードもありました。
一つ一つが短いエッセイですので、なかなか読書の時間が取れない方にもおすすめですよ。