• 四十代夫婦が綴る書評と雑記
悟浄出立 (新潮文庫) [ 万城目 学 ]

中国の故事や物語に対し、現代の作家がスピンオフを書いたのが本書です。

翻案や現代語訳ではなく、スピンオフというところがポイント。

元となった作品は、日本人にとっては

細部まで知っているものでもないでしょうが、

沙悟浄や趙雲、虞美人に項羽、李斯、司馬遷は

なんとなくイメージがある人も多いはず。

でも、そんなイメージが中国でのものと一致しているかというと、

かなり驚くかもしれません。

日本人にとっては沙悟浄って河童のイメージだと思うんですが、

中国ではまったくそんなことないんですよね。

恥ずかしながら、私はこの本を読んで知りました。

最近でいえば漫画やアニメで「キングダム」に登場する李斯は

その職務内容まで知っている人が増えているでしょうね。

漫画では韓非子のエピソード辺りでよく登場していた記憶があります。

とはいえ、原典について解説した「著者解題」が

文庫版では書き下ろしで収録されているのが有り難かったです。

全五篇、正直なところ、原典をよく知らない作品も含まれていますが

それでもどの短編も楽しめたのはやっぱり著者の巧みさが要因。

なんとなくのイメージしか持ち合わせていない人物どころか、その身内が主人公であっても、

短いページ数でグッと感情移入の度合いを高められるのは、

さすが万城目学と感じました。


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