加筆と再構成の上で改題されているようですが、私が読んだのは加筆前のもの。
2019年夏の甲子園予選、岩手大会決勝で佐々木朗希投手が登板しなかったこと、
またその試合での采配等は、
多くの野球ファンに衝撃を与え、その是非を含め論争を呼びました。
私も同様に周囲の野球ファン相手に、あれこれと意見を述べ合った一人です。
本書はその登板回避から顕著になった、予選からエースが一人で投げ抜く時代の終焉と、
継投策も含めたチーム編成の変化について、
球児へのインタビューを含めた多くの取材と、高校野球の歴史を担ってきたキーパーソンたちの証言を
基に書かれたものです。
強豪校が繰り広げる有望な中学生たちへの獲得競争、
土地柄や成り立ちによって異なる各校のチーム作りの方針、
高校野球ファンが大喜びするような知識が深まる内容が多く書かれています。
大阪桐蔭をライバルとする履正社の挑戦、
PL学園の伝説的スカウト井元氏が語る打倒・東海大相模から始まるチーム強化の歴史、
胸が躍る話がてんこ盛りです。
終章では「佐々木朗希と奥川恭伸」と題し、二人のU-18野球W杯のことが書かれています。
高校時代最後の夏、予選決勝で投げることなく散った佐々木と、甲子園決勝までチームを引っ張った奥川、
二人の現状を考えると、色々と思いが巡りますね。
阪神ファンの私としては高知高校・森木大智についても改めて知ることが出来、嬉しかったです。
佐々木がWBCでも活躍し、奥川が実戦復帰に向け奮起する今、
彼らの世代で大きく変わった甲子園を取り巻く潮流について興味のある方、
この本を手に取ってみてください。