(この投稿をしている2025年5月現在では)現役AV女優による、すごく真っ当な印象の短編集。
その職業を切り離したとしても一冊の本として素直に楽しめるし、
その職業に就いているからこそのリアリティある描写もあります。
読点を作為的に用いている箇所が好みではありませんが、
小説全体を貫く強さや真摯さがヒシヒシと伝わります。
あとがきで著者が記している「筋トレ」の成果なのか、女優の片手間という印象はまるでありません。
どの短編も女を描くことで男を描き、男を描くことで女を描いているように思います。
四篇とも通底するものがありつつ異なる魅力を感じました。
中でも「桃子」という作品が一番印象に残るのは、
私がどうしようもなく男性であるからなのでしょう。