• 四十代夫婦が綴る書評と雑記
最低。 (角川文庫) [ 紗倉 まな ]

(この投稿をしている2025年5月現在では)現役AV女優による、すごく真っ当な印象の短編集。

その職業を切り離したとしても一冊の本として素直に楽しめるし、

その職業に就いているからこそのリアリティある描写もあります。

読点を作為的に用いている箇所が好みではありませんが、

小説全体を貫く強さや真摯さがヒシヒシと伝わります。

あとがきで著者が記している「筋トレ」の成果なのか、女優の片手間という印象はまるでありません。

どの短編も女を描くことで男を描き、男を描くことで女を描いているように思います。

四篇とも通底するものがありつつ異なる魅力を感じました。

中でも「桃子」という作品が一番印象に残るのは、

私がどうしようもなく男性であるからなのでしょう。


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