店内での爆破テロから株価が暴落していく大手量販店、
その企業に融資している銀行、爆破犯を追う警察。
それぞれの組織内では足並みが揃っておらず、時に揃わないどころか足の引っ張り合いも起きます。
銀行や企業を中心に据えれば経済サスペンスでもあり、
警察や容疑者周辺を中心に据えれば犯罪小説や推理小説。
視点はクルクル入れ替わりますが、どの視点からも面白いし、
混乱が生じないのは登場人物のキャラクターをしっかり際立たせているから。
銀行員としての作家のキャリアが作品に存分に活かされるのは
「半沢直樹」シリーズで国民の多くに知られているところでしょうが、
この「株価暴落」は銀行員以外がメインになるパートも大変面白いです。
深いものから浅いものまで思惑は絡み合い、終盤に急展開が押し寄せるのは気持ちが良い。
全く飽きることなく一気に読み終えました。
この作品も映像化されていますが、池井戸作品の中では比較的、地味な作品かもしれません。
しかし、一冊でしっかり完結しており、NISAの普及で株が身近になった今では、
刊行時よりも人々の興味を引く内容だと思うんですよね。
池井戸作品らしいリアリティとやりきれなさと爽快さがある良い作品です!