日刊SPA!での連載に加筆修正した爪切男のエッセイ。
アスカという女性との6年に渡る多難な同棲生活を中心に、
過去に出会った女性、夢を忘れて忙殺される日々等を書いています。
辛い思い出も、素敵な出会いも、ユーモアと偏りながらも豊富な知識を散りばめて綴られているので、
とにかく面白く読めますよ。
こういった気詰まりにも思える若き日々を書いた小説やエッセイは数多くあって愛されていると思うけれども、
このエッセイはそんな中でも、リアリティと逞しさとユーモアに富んだ素晴らしい作品。
幾人かの女性との触れ合いの描写は、馬鹿馬鹿しくも切なくて、それでも笑ってしまいます。
寂しさと温かみが共存するような、傍から見れば行き詰っているような日々も、
無茶な論理と逞しさで乗り切っていく様は清々しくて格好良い。
それ故に、訪れる同棲生活の終わりの描き方が感情を揺さぶります。
普段、小説を読まない方、プロレスや漫画に造詣の深い方に是非薦めたいです。
エッセイとはいえ、小説のような連続するストーリー性もあって、
読後感は妙に爽やかな一冊です。