もうずいぶん前に出版された著者の初短編集。
短編を三つ、収録。
どれも魅力はあるのですが、人には勧め難い。
程度やジャンルの違いはあっても、どの話もどこか露悪的で悪趣味な印象はあるのです。
特に表題作については、個人的にすごく嫌いな描写がありました。
私は犬や猫が酷い目に遭う話がどうにも嫌いで、
その描写が小説にとって必要なものだと理解できていても、
適切な距離感で読むのは難しくなってしまうのです。
きっと、多くの愛犬家・愛猫家はそうだと思うんですよね……。
私も実家で飼っていた犬との想い出がたくさんありますので、
犬が理不尽に危害を加えられるのは、どうにも受け入れられない。
例えば、野犬が勇敢に戦って傷つくとか、犬同士の縄張り争いで、
とかなら、あまり拒絶感は無いんですけどね……。
そういうわけで、この短編集の魅力は理解できても、好きにはなれませんでした。

強い自意識をパワフルに描写するのが舞城王太郎の魅力だと認識しているし、
確かにその面白さはあります。
また比較的、近年の著者の別作品では好きな小説はありました。
ただ、この短編集の露悪加減はあまり好みではありません。
こうした傾向の作品が人気となって、
キャリア当初は支持されたのだろうとは思うのですが、
20年以上前に出版された、この昔の短編集を読む限り、其処に留まるべき作家だとは感じないし、
実際にもう其処にはいないのではないでしょうか。

