三編収録。
一つ目「ぱんぱんぱん」は少し不思議な読後感。
二つ目「猫の目犬の鼻」と三つ目「名の前の時間」はともに猫が大きくフィーチャーされた作品。
表題作は、リアリティのある女子学生の心理と、猫たちの成長や一生が時折交錯します。
度々、女子学生視点、猫視点と変わるので読んでいるとその辺りが少し読みづらく感じました。
ただ、内容としては、感情の瑞々しさ、猫の動きの細やかな描写が散りばめられ、
読む楽しさが感じられます。
「名の前の時間」は、少しユーモラスでほのぼのとした雰囲気が魅力的。
小説好きには猫好きが多いイメージがありますが、そんな人におすすめ。
猫の心象描写に妙なリアリティがあるのも面白かったですよ。
猫が何を考えているのか、誰にもわからないし、
それが猫の魅力でもあると思うのですが、
でも、この小説、不思議とリアルに感じるんですよね。