• 四十代夫婦が綴る書評と雑記
魂の退社 会社を辞めるということ。 (幻冬舎文庫) [ 稲垣えみ子 ]

元朝日新聞大阪本社社会部デスクで

アフロヘアーがよく似合う著者が朝日新聞離職直後に出した本。

この稲垣えみ子さん、テレビでお見かけすると記憶に残りますよね。

最近だと「楽しく学ぶ! 世界動画ニュース」に出演されています。

タイトル通りの内容ではあるのですが、

突発的にというよりは、長い時間をかけて醸成されていった自立の思考が

離職へと魂を動かしていく様子がよくわかります。

会社社会という風潮を経験と発見から見つめて論じる部分も、やはりグイグイ読ませる文章。

面白いのですが、仕事を辞めてからの日々を書くのだろうと思っていた後半部分から、

社会部記者らしいものを感じ取り、複雑な心境。

お、けっこう社会派な指摘も出てきたぞ、と熱くなる感覚もありました。

会社に縛られてお金と人事に囚われ生きることへの疑問符は、

薄々感じながらも目を背けがちな想いを言語化していきます。

ただし、基本的に自身の経験として語られるためか、

柔らかな世間話のように耳を傾けやすい。

ここが重要ですよね、立ち位置だとか在り様が明確なので、

こちらも色々と思いながらも、心を開いて読めるんです。

まるで本書の中で稲垣さんが銭湯にて築いていく人間関係のように。

私はハードカバーを手に取りましたが、

今年、文庫になりました。

個人的には文庫の方が表紙がかわいらしいなと思いますので、書店で見かけたら

ご覧になってみてください。


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