赤い砂を蹴る 劇作家・石原燃の小説デビュー作。 母を亡くした主人公は、母の友人と共にブラジルへと旅に出る。 その友人自身もまた、夫を亡くしたばかり。 喪失と、喪われた人の想いに向き合う旅路。 淡々と書かれているような場面 …
続きを読む発売予定直前に版元から各書店に回収通知が出され、多くの人の手には渡らなかった小説。 当然、作者の意に沿わない顛末ではありましたが、回収し切れなかった本もありました。 樋口毅宏の著作を何冊も読んだ者として強い興味を持ってい …
続きを読む吉祥寺美術館で開催中の「さかざきちはる ペンギン街に出る」、先日ようやく行ってきました。 このペンギンの絵、きっと多くの方が目にしたことがありますよね。 私もほぼ毎日、JRに乗る際に見ていますよ、Suicaのペンギン。 …
続きを読む少女を埋める (文春e-book) 桜庭一樹の自伝的小説集。 三篇収められており、表題作「少女を埋める」があって、 その作品を巡る騒動の顛末と日々の心情を描いたような「キメラ」と「夏の終わり」が続くような構成。 「少女を …
続きを読む自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書) ドラマ「VIVANT」盛り上がってますね! この記事を書いている現在、第四話まで放送されていますが、めちゃくちゃ面白い。 そのスリリングな展開の中、気になる …
続きを読むハンチバック (文春e-book) 市川沙央による第128回文學界新人賞受賞作、そして第169回の芥川賞受賞作。 文學界に掲載された時点で、既に注目されていたと記憶しています。 理由は二つ。一つはこの作品が強靭な当事者意 …
続きを読むクジラアタマの王様(新潮文庫) 随分コロナ禍を直接的にモチーフに使うんだなぁと読み進めて、 ふと奥付を見ると、2019年7月5日が初版。 コロナで世界が騒然とし始めるよりずっと先にこの小説を書いていたのかと思うと、 感服 …
続きを読むデッドライン(新潮文庫) 先日発表された第169回芥川龍之介賞でも「エレクトリック」で候補となった千葉雅也の初小説。 芥川賞候補には三度なっていますが、この「デッドライン」も候補作品でした。 作品と作者は分けて考えられる …
続きを読むここは 最果タヒの初絵本。 絵は100%ORANGEの及川賢治。 視点が大きく広がったり、別の角度で見ることに気づく素敵な絵本でした。 とはいえ、そんなのは大人の感想であって、 この絵本の良いところは、当然のように子ども …
続きを読む飽きっぽいのがこども。 友人の子や、甥っ子、姪っ子を見ていて思うのは、 「あれ、プレゼントしたおもちゃ、もう飽きちゃったの?」ってこと。 アンパンマンの遊具、跨がれるような車、色々吟味しても、 それがこどもの琴線にヒット …
続きを読む文庫 プロレタリア芸人 (扶桑社BOOKS文庫) よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、ソラシド本坊元児の苦しいアルバイト生活を書いたエッセイ。 私が本坊さんを知ったのは、とろサーモン村田さんが撮ったドキュメ …
続きを読む犬のかたちをしているもの (集英社文庫) 今や芥川賞作家となった高瀬隼子のデビュー作であり、第43回すばる文学賞受賞作。 セックスレス状態だった恋人が金を払ってセックスし妊娠させた女性から、 これから生まれてくる子どもを …
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