「アンパンマン」でお馴染み、やなせたかしの絵本。
朝ドラ「あんぱん」の影響もあっての復刊と思われます。
帯には今田美桜さん。
私はずっとこの作家のバイタリティと自意識を尊敬しています。
恐らく、ほのぼのとしたものを期待されることは多かったでしょうが、
この絵本に宿っているのは明確な問題意識であり、まるでアンパンマンが抱いている使命感。
この作家のタッチ、そして丁寧な色鉛筆での彩色だからこそ、
広い年齢層に伝えられるものがあるのだと思います。
人種や容姿で差別することを断じるストーリーは、短くも美しくまとまり、
それでいて子どもには気付きを与え、大人には自省の機会をもたらします。
勇気や治安を示し続けた作家が描く、勇気や治安を一旦疑うような内容。
多様性の時代より遥か前に描かれた絵本が今、復刊されるのは重大な意味を持っていると感じました。