ファッションブランド「New Manual」と文芸誌「群像」のコラボレーションであった
連載をまとめたもの。
執筆陣は町田康、北方謙三、等々ビッグネーム揃いです。
一応、ファッションやデニムといったテーマの縛りはあったようですが、
形式もテーマの取り入れ度合いもまちまち。
ここまでの錚々たる作家たちを集められたからには、
もっと縛りを強くした方が連載としても一冊の本としても面白かっただろうに、と思いました。
縛りに耐え得る、というより縛りをもろともしない作家たちでしょうから。

ブランドとのコラボということで、本には凝った写真がたくさん。
作家が着用している写真は興味深いのですが、
それ以外のモデルが着用している写真も非常に多く、故にこの本、価格がとても高い……。
このブランド自体にあまり興味がないので、随分と割高な本だと感じるのが正直なところ。
試みが面白いだけに、テーマを縛る、モデルを作家に限定する等、
より強いコンセプトがあれば、更に意義深い本になったのではないでしょうか。
価格やネームバリューに対し、やや物足りなさを感じる本でした。
この執筆陣、そして「群像」という場、
作家がファッションモデルを務めるという試み、
強烈に刺激的でかっこいいものを期待していていました。
チャレンジングな企画だからこそ、もっとヒリヒリしたかったなと感じます。
ちょっと企画についての言及ばかりになってしまいましたが、
文学作品は、最後に収められた金原ひとみの短編が一番面白かったです。

