直木賞受賞作。
代表作「鴨川ホルモー」等の著者が得意とする京都を舞台にした大学生の青春小説、ではあります。
とはいえ、そこに不思議な要素が巧みに織り込まれるのがこの著者の真骨頂。
とあるきっかけで、なし崩しに早朝から野球の試合に打ち込むことになる主人公たちの様子は、
とても読みやすく、それ故に序盤では今作は随分と直球な展開だなと感じます。
しかし、中盤から小説はもう一段階、深みと奥行きが増すのでした。
主人公のキャラクター性がその展開に見事にマッチしていきます。
さほど気にもとめていなかった言葉も、京都の風物詩と共に美しく小説を締める描写に繋がります。

野球好きであればあるほど、描写や展開にのめり込むはず。
広い間口で迎え入れて、過ごしやすい部屋に通してもらったら、
襖の向こうにもう一部屋、とても趣深い部屋があって、窓からは心奪われる景色が見える。
そんな小説でした。
併録されている「十二月の都大路上下ル」も面白いです。
世間的にはこのブログをアップしている2026年1月現在、箱根駅伝での青山学院大学の三連覇が話題だが
この短編は全国高校駅伝の話。
毎年12月に京都で開催されていますが、万城目作品といえば、まさに京都のイメージですよね。
こちらの方は、青春の爽やかな味わいです。

