• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

「かか」宇佐見りん。

母への張り詰めた想いが
濁流のように苛烈に書き綴られた、
独白の形をとった小説。

母のみならず家族の描写は、
負の部分をしっかりと見せていて、読んでいて辛くなります。

すれ違いやぶつかり、あるいはぶつかることがわかっているから
関わりを避けるような冷たさまで……。
主人公の感情を乗せて時に非難するような目線で
描くことで浮かび上がる空気感は居心地悪い。
それ故に家族という集合体を強く意識させられました。

方言を用いた熱のこもった語りは、
この作品にとても合っていて、
主人公の抱える現実を切々と読み手に伝えるはずです。

非の打ち所がないというより、
打ち所なんて考える気にならないくらいに、
強い魅力を持った小説でした。


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