• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

「ブラザーズ・ブラジャー」佐原ひかり。

タイトルから先入観で、LGBTに関わる内容と

思い込んで読み始めました。

実際にはそうした思い込みをも踏まえた、

許容や寛容、認識や理解の少し奥にある感情に、

柔らかく力強く踏み込むような小説。

許容や理解って言葉を使うこと自体に

疑問が浮かぶような、考えさせられる内容でした。

しかし、論や理屈を並べ立てるような内容ではなく、

しっかりと家族や青春を描いた、明確に面白い小説ですよ。

夏休みの中高生がこういった素晴らしい本を

読んでくれると嬉しいな、とぼんやり思ったり、

自分のような疾うに大人になったとされる人たちにも

手に取ってほしいとも思います。

特に、個人の趣味嗜好に比較的

寛容であると自認しているような人に勧めたいです。

私自身がそういう人間でしたが、果たして自分の「寛容」って、

正しいのか、あるいは正否の捉え方自体は合っているのか、

と物凄く建設的な自省の時間を得られました。


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