サブカルの雄、みうらじゅんさんが自らの迷走の時代を書いたエッセイ。
雑誌「コンティニュー」に連載されていただけあって、中盤までは若かりし頃を
ファミコン等のゲームの思い出と共に振り返っている内容ですが、
ページが進むにつれ、題材がダイレクトに人生へとフォーカスされていく印象でした。
美大浪人時代や、ガロ出身の漫画家とはいえ未だ無名だった時代、そして「大島渚」としてのバンドデビューの頃。
みうらじゅんのファンであれば、本人の言葉で語られる思い出は必読だと思います。
師事する糸井重里さんとのエピソードも印象的でした。
「タモリ倶楽部」という貴重な番組が良い意味で平穏に幕を閉じた今、
サブカルというものを改めて考えたくなって手に取った一冊ですが、あっという間に読み進めてしまいました。
この本は、自分らしくないことをしながら自分が何者なのかを再確認するための、迷走の記録のようです。
単純な面白さと、逃れようのない愚かさと、それでも自分が面白いと感じるものに
わざとのめり込んでいく矜持を感じました。
今の、達観したような、独自性を確立したみうらじゅん氏しか知らない人におすすめしたいです。
あさっての方向に情熱を注ぐような生き方を見つけるために、あさっての方向に迷走した日々が
面白く、そして切なく書かれています。