• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

八王子市夢美術館で開催されている「ピーター・シスの闇と夢」に行ってきました。

ピーター・シスは、チェコスロヴァキア生まれで、現代アメリカを代表する絵本作家です。

日本だと、このチェコに生まれたという意味合いが伝わりづらい部分もあるかもしれません。

しかし、展示されている絵本の原画や、学生時代の卒業制作である映像作品から、

自由な発想や創作が抑圧された苦しみは読み取れるはずです。

とはいえ、そういった政治的な背景や、暗い影だけが彼の作品の価値ではありません。

とてつもない労力を惜しまない点描の見事さ、発想と構成の美しさ等々、

たくさん展示された絵本の原画はどれもそれぞれの魅力を放っています。

描かれた時期や、どういう意図で描かれた絵本であるかによって、

画風にはかなり違いがあります。

ただ共通しているのは、どの作品も誰かに向けて描かれているという意志を感じるところでした。

我が子であったり、父であったり、これからの時代を生きる人々であったり、

対象は様々ですが、かわいらしい絵に込められたものは強く優しいものばかりだと思います。


ピーター・シスの闇と夢

また、雑誌や新聞の挿絵、公共的なアートプロジェクト作品等も素敵でした。

彼の絵本を読んだことが無い方にも是非おすすめしたい展覧会でした。

素敵なポストカードを購入、原画で見ると、この金色の縁取りも美しさに一役買っていました。

八王子での展示は2023年8月31日まで、です。


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