1990年に出版された穂村弘の第一歌集が2021年に新装版となって再出版。
この新装版は表紙の絵がヒグチユウコ、装丁は名久井直子、解説は高橋源一郎、といった超豪華メンバー。
私が初めて穂村弘という名前を知ったのは大学時代で、確か初のエッセイ集「世界音痴」が出た頃でした。
正直なところ、ゼミで近代文学を読み込むのに忙しく、エッセイや短歌に触れる時間が取れなかったのですが、
当時の恋人が「世界音痴」について話していたのは覚えています。
きっと手に取ろうとしない私に内心、腹を立てていたことでしょう。
それから随分、年月は経ち、書店でこの「シンジケート」を見つけて、
かっこいい装丁にすっかりやられた私はようやく穂村弘の本を手に取ることになったのです。
言葉が見事にマッチする心地良さも、ミスマッチな言葉が連なる面白さも、
この歌集からはどちらも受け取ることが出来ます。
そうして、どことなく強がっているような言葉の選び方は、
なるほど、あの頃、恋人の心を震わせたのも頷けます。
いや、そこに魅力を感じたのか今となっては確かめる術はありませんが。
この新装版に載っている高橋源一郎の解説がとても良いので、
最初に出版されたものを何度も読み込んだという穂村弘の古参ファンの方は、
その解説だけでも目を通していただきたいと思います。
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