村上春樹と安西水丸の名コンビによる絵本、元々は1998年に刊行されていたものを新版にて再刊行。
この二人はもちろんコンビとしてファンの間では有名ですが、
村上春樹と猫、も頭に浮かびやすい組み合わせですよね。
多くの絵本のような、ストーリーがあるわけではありません。
エッセイのような言葉に、柔らかな絵が添えられている構成なので、
子どもに読み聞かせるといった類の絵本ではないですね。
ある程度、比喩の面白さや、言い回しの妙、みたいなものを理解できる年齢になってから
手にする本のように感じました。
この本、全編に渡り、猫が描かれているのですが、その描き方に違和感があるんですよね。
悪い違和感ではなく、むしろその違和感こそが自然に感じるんです。
その感覚の正体は、挟み込まれているしおりを読むとはっきりするんですが、
思えば、そもそも好きなものを見る視界ってそういうものだし、
だからこそ自然に感じたんでしょうね。
タイトル通り、ふわふわとした柔らかな読後感がありつつ、二人の独自性がしっかりと表れた一冊でした。
そういえばもうじきノーベル文学賞の発表ですね。
愛読者の一人としては、村上春樹氏が受賞しようがしまいが、どちらでも良いというのが本音です。
とはいえ、毎年のように騒がれるよりは、受賞するならさっさと受賞してしまった方が良いのかな、とも思います。
いや、ファンならではの無責任で乱暴な言い方かもしれませんね……。
ただ、芥川賞に比べて、受賞したから読んでみようかなという感覚は薄い気がするんですよね。
川端にしろ大江にしろ、ノーベル文学賞受賞前から著名な作家だったわけですし。
あ、でもカズオ・イシグロは受賞が読むきっかけになりました。
まぁ、受賞したらコメントを出されるでしょうから、それを読んでみたいとは思います。
こういう声も、ご本人からしたら煩わしいかもしれませんね!