このタイトルから想像していた内容とは違う雰囲気に「おや?」と思うものの、
これがかなり面白かったです。
日本人の読書習慣と労働意識や労働時間を軸に、年代を追って考察していく構成は、
なんだか一般教養の講義のようで知識欲をくすぐります。
もちろん最終盤ではこのタイトルに対する著者の思いが語られるのですが、
正直なところ、その前までの想像外だった辺りに魅力を感じました。
教養と修養、階級やブーム、様々な観点から考える日本人と読書の関係性は、
読書家を自認する人々にも新たな知識を齎すのではないでしょうか。
この本が話題になるのだから、多くの人の中には本を読む時間が欲しいという思いがあるはず。
読書が好きそうな方がよく読んでいた印象なので、きっとみなさん、このタイトルのような
ジレンマを感じているのでしょうね。
想像していたエモーショナルな雰囲気とは異なっていて、
それが自分にとっては刺激的な読書体験に繋がりました。
また新たな一冊を手に取る気持ちが湧く、良い出会いだったと思います。
本書でも触れられている映画「花束みたいな恋をした」の登場人物に
似た経験をした人も多いと思います。
同じ趣味に熱中した恋人や友人がやがてその趣味から離れていってしまう。
そんな寂しさを感じたことがある人にもおすすめしたい一冊です。