人気イラストレーター・益田ミリが人気を博す前の川柳の本。そのため、名義はミリマスダ。
例えば代表作「スナック キヅツキ」とか「僕の姉ちゃん」といった漫画を読むと、
その柔らかでほのぼのとした画風に油断して、
生きることへの熱量のようなものにドキッとすることがあります。
これ、けっこう益田ミリさんのファンの方にはよくあることだと思うんですよね。
作品全体の空気感は優しく穏やかなものを感じますが、
しっかり読むと暮らしの湿り気や薄暗い負の心も描いているように思います。
人間と関わる描写を避けて優しい世界観だけに逃げるほのぼのとした漫画や映画は世の中に多いです。
益田ミリはその枠だと誤解されることもあるでしょうけれども、
実際には暮らしや心の暗い部分から逃げていない。
そうした生々しさを言語化しないまでも感じていたところに、ずいぶん昔のこの本を読みました。
川柳として優れているのかを判断する知識がないので、その辺りはわかりませんが、
やはりここに収められている多くの句からは若くバイタリティのある熱が伝わります。
恋愛を扱っていると思われる句が多いのも特徴的ですね。
皮肉や強い言葉も見られて、今の作風とは少し印象は異なりますが、
先述したような熱量が感じられて、名義は異なれど一人の作家が持ち続ける強みを感じました。
是非、益田さんファンの方に読んでみていただきたいです。