阪神の名セットアッパーでありストッパー、
日本を代表する右腕であった藤川球児が引退直後に出版した本。
前々から気になっていましたが、球児が阪神の新監督に就任したということで読みました。
この投手の投球を見たことがある人にはよくわかると思うのですが、
魅力としてあげられるのは何よりも直球勝負。
ストレートが来ると分かっているであろう打者をも空振りさせるストレートは
本当に惚れ惚れする軌道でした。
そういったイメージから、パワーで勝負する投手と思われがちでしょうが、
インタビューや解説の様子を見ると、かなり理論派で合理的な考え方をする人だと感じます。
そんな選手としての魅力と、解説者としての理性に少しイメージの差を感じていたのですが、
この本を読むと、その差の理由、そしてその両面こそが
この投手を大投手たらしめていたのだと伝わります。
ここに書かれた多くの決断や変化は時に苦しいものだったり納得し難いものだったかもしれません。
でも、その時に感じたことを
冷静に明確に言葉にする能力がある人物なのだということがよくわかります。
新監督として、その言語化の力を阪神タイガースのために振るってほしいと
阪神ファンとして強く感じています。
私は西武ドームでの交流戦で、この藤川球児投手の直球を目撃し、
知らず知らずのうちに涙が流れていた経験があります。
内野席から見ても、それほどにかっこいい投球だったのです。
あの頃の投球を生で見ることはもう叶いません。
ただ、あんな風に躍動する選手を育て上げる姿はきっと見ることが出来るはずです。
プロ野球はいよいよキャンプイン。
球児の手腕に期待しつつ、秋には日本一の喜びに浸れることを楽しみにしています。