100人の歌人が歌った海の短歌100首。
少し自分の好みとは違う短歌でも、100首のうちの1首となると、
それはまるで海の果てしなさや底知れなさみたいなものを表す
重要な意味を持つように感じました。
どの歌も海を感じさせるのに、その100人とも違う面白さがあります。
そもそも違う海を見ているようでもあるし、
あるいは同じ海に並んで立ってるのに見えているものが違うようにも思うのです。
収められた歌はキラキラしていたり、鈍く光ったり、暗くくすんでいたりと多様で、
企画として抜群に面白く感じました。
100人の歌であることにより、歌に滲む感情に溺れずに済むところもありました。
私は時々、1人の感情に触れ過ぎるとうっかり溺れそうになることがあります。
もしも同じような方がこのブログを読んでいたら、
この歌集はそんな人にこそ強く勧めたいです。
短歌が好きで歌集も読みたいのに、溺れそうで怖いっていう人、けっこういると思うんですよね。
見る人が変われば心に映る景色も違うし、同じ人でも心持ちが変われば感じ取るものも違う。
景色自体も季節や時刻が違えば、見えてくるものは変わる。
そんな当たり前のことをゆっくりと歌に触れる中で思い出せました。