• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 タイトルから受ける印象とは異なる読み心地。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか【電子書籍】[ 三宅香帆 ] このタイトルから想像していた内容とは違う雰囲気に「おや?」と思うものの、 これがかなり面白かったです。 日本人の読書習慣と労働意識や労働時間を軸に、年代を …

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書評「栄光のバックホーム」 母が語る横田慎太郎の生き様。

栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24 [ 中井 由梨子 ] いずれ阪神タイガースの主軸を担う存在と期待されるも、 闘病の末に惜しまれながら2023年にこの世を去った横田慎太郎。 この本はそんな横田選手の母から …

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書評「Blue」 増設されただけの枠に気づく。

Blue [ 川野 芽生 ] 歌人でもある川野芽生による第170回芥川賞候補作。 この小説、物凄く感情を揺さぶられる作品でした。 題材や内容としても、構造としても惹き込まれました。 個人的には小説の中に物語が内包されてい …

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書評「40歳の壁をスルッと越える人生戦略」心の言語化で臨むキャリアデザイン。

「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略 [ 尾石 晴 ] 私もまさに40歳の壁ならぬ”40代”の壁にぶち当たり中なのですが、 この壁って、なかなか言語化が難しい。 なんとなく違和感がある、なんとなく心身のバランスがとれな …

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書評「トビウオが飛ぶとき 『舞い上がれ!』アンソロジー」 歌に触れて改めて人物像に親しむ。

トビウオが飛ぶとき 「舞いあがれ!」アンソロジー [ 桑原 亮子 ] NHKの朝ドラ「虎に翼」が話題ですよね。 私の周囲でもけっこう話題に上ることが多く、 個人的にはもしかしたら「あまちゃん」以来の話題性かも。 ただ、実 …

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書評「シティポップ短編集」 オムニバス盤みたいな感覚で。

シティポップが流行ってるという話はちょこちょこ聞きますよね。 私にとっては大瀧詠一さんのイメージが強いですね。 あとは、山下達郎さんに大貫妙子さんとか。 なかなか難しい括りで、アンチシティポップの姿勢で名作を生みだした佐 …

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書評「魂の退社 会社を辞めるということ。」 縛られない、自立の思考。

魂の退社 会社を辞めるということ。 (幻冬舎文庫) [ 稲垣えみ子 ] 元朝日新聞大阪本社社会部デスクで アフロヘアーがよく似合う著者が朝日新聞離職直後に出した本。 この稲垣えみ子さん、テレビでお見かけすると記憶に残りま …

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書評「野球短歌」 阪神ファンの共感を呼ぶ歌集。

野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった [ 池松 舞 ] 阪神タイガースの2022年シーズン全試合ごとに歌が詠まれている、 というこの試みだけで俄然、興味が湧く一冊。 実は私は三十年以上にわたる …

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書評「気づいたこと、気づかないままのこと」 心身が解れる心地良いエッセイ。

気づいたこと、気づかないままのこと/古賀及子【1000円以上送料無料】 古賀及子さんといえば長年、デイリーポータルZで活躍しているイメージが強いですね。 私が熱心にDPZを読んでいたのは数年前までで、 最近のサイト内容は …

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書評「いなくなくならなくならないで」 悩みも諦めも見事に織り込む。

いなくなくならなくならないで【電子書籍】[ 向坂くじら ] 先日発表された芥川賞で残念ながら受賞を逃した向坂くじらのデビュー作。 こんがらがりそうなタイトルが示す通り、主人公の複雑な心情が巧みに書かれています。 ただ、複 …

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書評「サンショウウオの四十九日」 魅力的な混濁。

サンショウウオの四十九日 [ 朝比奈 秋 ] 医師でもある小説家、朝比奈秋による芥川賞候補作。 あまり詳しく内容を知らないまま読み進めると、違和感を覚えて、 その理由が明かされると設定に一気にのめりこみました。 ここから …

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書評「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」 リアリティのある重さ。

この部屋から東京タワーは永遠に見えない [ 麻布競馬場 ] Twitterやnoteで発表された小説の数々を収録。 麻布競馬場による、都市生活小説群という感覚でした。 東京の様々な街のイメージをいじわるな視点で描き出し、 …

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