• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」 想いを救い上げるような言葉。

ここで唐揚げ弁当を食べないでください [ 小原 晩 ] 私家版が主に独立系書店などで話題になっていましたが、 エッセイを17篇も追加収録して商業出版されました。 都会に一人佇む時の不安、誰かの傍にいる時にも自分のことをあ …

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書評「朱色の化身」リアリティーが導く美しい終着。

朱色の化身 (講談社文庫) [ 塩田 武士 ] 芦原温泉で実際に起きた災害をモチーフにして、 作者の丁寧な取材のもと、事実と創作が見事に組み合わさり、 リアリティ溢れる小説となっていました。 作者の塩田武士が新聞記者の経 …

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書評「海のうた」 心に触れて溺れそうな方に。

海のうた [ 左右社編集部 ] 100人の歌人が歌った海の短歌100首。 少し自分の好みとは違う短歌でも、100首のうちの1首となると、 それはまるで海の果てしなさや底知れなさみたいなものを表す 重要な意味を持つように感 …

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書評「87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え」トータルで勝つための指南。

87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え [ 藤本 茂 ] タイトルから、もっと著者の人生に迫るような内容を期待していたのですが、 そういった趣旨の本ではありませんでした。 もっと実践的というか、実用的というか……。 デ …

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書評「法は君のためにある」 レンジの広さと敷居の低さ。

法は君のためにある みんなとうまく生きるには? (ちくまQブックス) [ 小貫 篤 ] 法律やルールといったものについて、中学生の生活にあり得そうなことを題材に考えていく本。 大会メンバーの選考方法や学校祭の使用教室決定 …

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書評「ハイパーたいくつ」轟音をたてて崩れる日常。

ハイパーたいくつ【電子書籍】[ 松田いりの ] 第61回文藝賞受賞作品。 恐らく性質に合わない仕事に就き、壊れた人間とイカれた日常。 仕事の描写が克明なわけではなく、社会問題を切々と描き出すといった類でもありません。 も …

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書評「たべるノヲト。」 名優が綴る上手い飯の記憶。

たべるノヲト。 [ 松重豊 ] 強面俳優と知られた松重豊さん、今ではドラマの影響で食道楽のイメージが強いですよね。 ご本人はドラマのような大食感ではないと仰っていましたが、 このエッセイを読むと食べ物に強い関心があるのが …

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書評「火の玉ストレート プロフェッショナルの覚悟」 新監督の理性に触れる。

火の玉ストレート プロフェッショナルの覚悟 [ 藤川球児 ] 阪神の名セットアッパーでありストッパー、 日本を代表する右腕であった藤川球児が引退直後に出版した本。 前々から気になっていましたが、球児が阪神の新監督に就任し …

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書評「夏目家のそれから」 漱石の孫だからこその魅力ある文章。

夏目家のそれから [ 半藤 末利子 ] 漱石の孫だからこそ書ける内容ではあります。 語られる事実もさることながら、心象も語り口も、血縁ならではの説得力がありました。 著者が生まれたのは漱石の没後であるため、 語られるのは …

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書評「ミリマスダのつぶやき川柳 それが私だもん」 人気作家の若き日の熱。

【中古】 それが私だもん / ミリマスダ / 春陽堂書店 [単行本]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】 人気イラストレーター・益田ミリが人気を博す前の川柳の本。そのため、名義はミリマスダ。 例えば代表作「スナック …

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書評「ジュージュー」 閉塞感の先にある清々しさ。

ジュージュー (文春文庫) [ よしもと ばなな ] 緩やかながら力強い再起や再生を描いた作品だと感じました。 大きく損なわれているように見えなくても、とっくに立ち直っているように見えても、 決定的に弱っているということ …

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書評「娘が母を殺すには?」 苦しくなる題材、広い間口。

娘が母を殺すには? [ 三宅香帆 ] ちょっと慄くようなタイトルではあります。 ただ、読み進めれば、早々にフロイトが言う「父殺し」のような意味での 母娘の関係についての本だとわかります。 この本では、そういった父と息子で …

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