• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「星の王子さま」 適齢期に読むべき作品。

星の王子さま (集英社文庫(海外)) [ サンテグジュペリ ] こんな有名な本を読まずに中年になってしまいました。 しかし、池澤夏樹が翻訳していることに惹かれ、ついに購入。 示唆に富み、考えは巡り、気づかされることも多い …

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書評「死んでいない者」 冷ややかなまでに淡々と。

死んでいない者 (文春文庫) [ 滝口 悠生 ] 滝口悠生の芥川賞受賞作。 通夜に集まった親族たち、あるいは来なかった親族も描いた作品にこの秀逸なタイトル。 死んだ者ではなく、死んでいない者に焦点が当たります。 しかし、 …

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書評「17歳のポケット」 老いる自分と老いないかまち。

17歳のポケット (集英社文庫(日本)) [ 山田 かまち ] ふと若い熱情みたいなものに触れたくなって、書店をぶらぶらしていて見つけた 山田かまち「17歳のポケット」の新装版。 きっと多くの方が学生の頃に何らかの形でそ …

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書評「ポテト・スープが大好きな猫」 良い塩梅の絵本。

ポテト・スープが大好きな猫 [ テリー・ファリッシュ ] おじいさんと雌猫の穏やかな暮らしを描いた絵本。 翻訳は村上春樹。 かわいらしい表紙と、翻訳者の名前に惹かれて手に取ると、 内容がなんとも良い塩梅なんですよね。 劇 …

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書評「お別れの、そのあとで」 ひと時の切なさに心を浸す。

【中古】 お別れの、そのあとで / 伊藤 たかみ / 光文社 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】 伊藤たかみの短編集。 この作家が書く何気ない会話や想いが、すごく好きなんですよね。 沸き立つような感情は心を揺さ …

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書評「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」 かっこよさとかわいさが共存することを知った頃。

ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ 展覧会「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」の図録。 この展覧会、すごく行きたかったんだけど予定が合わず行けなかったんです。 その後、数年して信藤さんは亡くなり、 …

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書評「深呼吸の必要」 タイトル通りのタイミングで読みたくなる詩集。

深呼吸の必要 (ハルキ文庫) 長田弘の代表作ですね。 すごく印象的なタイトルですよね、私は若い頃に「深呼吸の必要」という映画のタイトルで目にしてから、 やけに心に残る言葉です。 映画とこの詩集自体には内容の関連はありませ …

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書評「ゴリラはいつもオーバーオール」 見つけるうまさ、言語化するうまさ。

ゴリラはいつもオーバーオール (幻冬舎文庫) 渋谷直角といえば、雑誌「relax」で活躍し、その後、漫画家としても知られるようになったライター。 「relax」がインテリアとしても機能するくらいに支持されていた頃は覚えて …

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書評「グスコーブドリの太陽系 宮沢賢治リサイタル&リミックス」 挑戦と刺激の一冊。

グスコーブドリの太陽系 :宮沢賢治リサイタル&リミックス 古川日出夫は熱量と試みの作家、と私は感じてきました。 デビュー以来、書き上げる作品の数、その作品ごとの質量や分量が多い傾向はあります。 また、チャレンジングな作品 …

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書評「ふわふわ」 自然な違和感、柔らかな読後感。

ふわふわ (講談社の創作絵本) 村上春樹と安西水丸の名コンビによる絵本、元々は1998年に刊行されていたものを新版にて再刊行。 この二人はもちろんコンビとしてファンの間では有名ですが、 村上春樹と猫、も頭に浮かびやすい組 …

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書評「『メランコリア』とその他の詩」 言葉の楽しさに触れる

「メランコリア」とその他の詩 池澤夏樹による二部構成の詩集。 第一部にあたるのが「メランコリア」。 1998年にイラストレーター阿部真理子との共著で出版した同名作品の詩部分のみを再掲した形。 去った女を追う男の道程を詩に …

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書評「不連続殺人事件」 無頼派文豪による名作推理小説。

不連続殺人事件 (角川文庫) 文豪・坂口安吾による推理小説。 不勉強なことに、安吾が書いたからには推理というよりは 文章そのものを楽しむ作品なのだろうなと思い込んでおりました。 これが読み進めてみるとビックリ! もちろん …

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