• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「悟浄出立」 よく知らない話のスピンオフ、なのに面白い。

悟浄出立 (新潮文庫) [ 万城目 学 ] 中国の故事や物語に対し、現代の作家がスピンオフを書いたのが本書です。 翻案や現代語訳ではなく、スピンオフというところがポイント。 元となった作品は、日本人にとっては 細部まで知 …

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書評「いとへん」 ポジティブな服飾お仕事マンガ。

いとへん (フィールコミックス) [ 宇仁田ゆみ ] 「うさぎドロップ」で有名な宇仁田ゆみの作品。 この一冊で完結しています。 私はいわゆる中年ですが、現役の週刊少年ジャンプ読者です。 ただ、漫画というもの自体が大好きな …

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書評「八月の御所グラウンド」野球と駅伝、京都を舞台にした真骨頂。

八月の御所グラウンド [ 万城目 学 ] 直木賞受賞作。 代表作「鴨川ホルモー」等の著者が得意とする京都を舞台にした大学生の青春小説、ではあります。 とはいえ、そこに不思議な要素が巧みに織り込まれるのがこの著者の真骨頂。 …

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書評「New Manual」 もっと縛りを強く……。

New Manual [ 町田 康 ] ファッションブランド「New Manual」と文芸誌「群像」のコラボレーションであった 連載をまとめたもの。 執筆陣は町田康、北方謙三、等々ビッグネーム揃いです。 一応、ファッショ …

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書評「リリアン」 立体感と温度が宿る。

リリアン [ 岸 政彦 ] 社会学者 岸政彦の小説。 こういう言い方は著者に対して失礼にあたるかもしれませんが、 どうして記しておきたいのはこの小説が学者の片手間なんて範疇にはないということ。 しっかりと純文学として面白 …

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書評「海岸通り」 あえての狭い収束。

海岸通り [ 坂崎 かおる ] 坂崎かおるによる芥川賞候補作。 読む前は限られた舞台設定で繰り広げられるのかと思っていましたが、 そこから小説は大きな広がりを示唆します。 文字通りに海を超えるようなものを感じさせながら、 …

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書評「ババヤガの夜」 見事な暴力描写、最高な表紙絵。

ババヤガの夜 (河出文庫) [ 王谷 晶 ] ダガー賞受賞で話題になった王谷晶による小説。 次々と繰り出される暴力描写は、 スピード感があって、 だからこそ所々にある日常的な部分が 心地良いテンポを生みます。 ただし、当 …

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書評「キトラ・ボックス」 知的好奇心、刺激されまくり。

キトラ・ボックス (角川文庫) [ 池澤 夏樹 ] 「アトミック・ボックス」の続編にあたる。 とはいえ、「アトミック・ボックス」未読でも問題ないはず。 当の私がその状態だったし、この小説は単独でしっかり成立していていて、 …

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書評「自動起床装置」 小さな舞台ゆえに改めて感じる文学の凄みと深み。

自動起床装置【電子書籍】[ 辺見庸 ] 1991年の芥川賞受賞作。 辺見庸の名前は知っていましたが、著作は恥ずかしながら読んでいませんでした。 ジャーナリストのイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。 この表題 …

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書評「フルタイムライフ」程良い距離感で読む新社会人生活。

フルタイムライフ (河出文庫) [ 柴崎 友香 ] 柴崎友香さんの作品はけっこう読んでいるのですが、 これも面白いんですよね。 文庫版の表紙もかわいくて良いんですが、 この古本屋でもあまり見かけない単行本のデザインも素敵 …

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書評「シャーロック・ホームズの凱旋」 ポップネスを勝ち得るメタフィクション。

シャーロック・ホームズの凱旋 (単行本) [ 森見登美彦 ] ホームズがモリアーティ教授と友人同士で、 アイリーン・アドラーがライバル探偵で、住まいは寺町通221B? こんな風にその関係性と舞台の違和感を存分に楽しむには …

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書評「虹ヶ原ホログラフ」 魔術的に惹き込まれる醜さと才能。

虹ヶ原ホログラフ [ 浅野いにお(1980-) ] 浅野いにお初の長編連載作品。掲載誌はクイックジャパン。 この本を買ったのはもう19年も前。 その頃にはこの作者の作品にすごくハマっていて、ほとんどの単行本を発売してすぐ …

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