• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「トビウオが飛ぶとき 『舞い上がれ!』アンソロジー」 歌に触れて改めて人物像に親しむ。

トビウオが飛ぶとき 「舞いあがれ!」アンソロジー [ 桑原 亮子 ] NHKの朝ドラ「虎に翼」が話題ですよね。 私の周囲でもけっこう話題に上ることが多く、 個人的にはもしかしたら「あまちゃん」以来の話題性かも。 ただ、実 …

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書評「魂の退社 会社を辞めるということ。」 縛られない、自立の思考。

魂の退社 会社を辞めるということ。 (幻冬舎文庫) [ 稲垣えみ子 ] 元朝日新聞大阪本社社会部デスクで アフロヘアーがよく似合う著者が朝日新聞離職直後に出した本。 この稲垣えみ子さん、テレビでお見かけすると記憶に残りま …

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書評「野球短歌」 阪神ファンの共感を呼ぶ歌集。

野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった [ 池松 舞 ] 阪神タイガースの2022年シーズン全試合ごとに歌が詠まれている、 というこの試みだけで俄然、興味が湧く一冊。 実は私は三十年以上にわたる …

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書評「気づいたこと、気づかないままのこと」 心身が解れる心地良いエッセイ。

気づいたこと、気づかないままのこと/古賀及子【1000円以上送料無料】 古賀及子さんといえば長年、デイリーポータルZで活躍しているイメージが強いですね。 私が熱心にDPZを読んでいたのは数年前までで、 最近のサイト内容は …

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書評「いなくなくならなくならないで」 悩みも諦めも見事に織り込む。

いなくなくならなくならないで【電子書籍】[ 向坂くじら ] 先日発表された芥川賞で残念ながら受賞を逃した向坂くじらのデビュー作。 こんがらがりそうなタイトルが示す通り、主人公の複雑な心情が巧みに書かれています。 ただ、複 …

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書評「サンショウウオの四十九日」 魅力的な混濁。

サンショウウオの四十九日 [ 朝比奈 秋 ] 医師でもある小説家、朝比奈秋による芥川賞候補作。 あまり詳しく内容を知らないまま読み進めると、違和感を覚えて、 その理由が明かされると設定に一気にのめりこみました。 ここから …

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書評「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」 リアリティのある重さ。

この部屋から東京タワーは永遠に見えない [ 麻布競馬場 ] Twitterやnoteで発表された小説の数々を収録。 麻布競馬場による、都市生活小説群という感覚でした。 東京の様々な街のイメージをいじわるな視点で描き出し、 …

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書評「彗星交叉点」 日常から拾い上げる言葉の魅力。

彗星交叉点 [ 穂村 弘 ] 穂村弘によるエッセイ集。 どのエッセイも概ね3ページ程度だが、この分量がとても小気味良いです。 街中で聞こえてきた会話、仕事上のメールの遣り取り等、日常から気になることを拾い上げる。 それら …

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書評「クレイジーDの悪霊的失恋」 3部と4部の間を丁寧に描いたスピンオフ。

クレイジーDの悪霊的失恋 -ジョジョの奇妙な冒険よりー (ジョジョの奇妙な冒険 ノベライズ) [ 上遠野 浩平 ] みなさん、「ジョジョ」は読んでますか? 荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」は今も続く名作漫画。 202 …

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書評「それを読むたび思い出す」 自転車で行ける範囲にあった文化。

それを読むたび思い出す [ 三宅香帆 ] 最近「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で話題の三宅香帆さんのエッセイ。 なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) [ 三宅 香帆 ] 大きく「地元」「京都」「読 …

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書評「橋」 淡々としつつダイナミックに。

橋【電子書籍】[ 橋本 治 ] 先日、神奈川近代文学館「帰って来た橋本治」展に行ったこともあり、 橋本治の異常なバイタリティに圧倒されました。 その感覚を忘れぬうちに一冊読みたくて手に取ったのが本書。 二人の女が辿る人生 …

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書評「肉弾」 カルデラで繰り広げられる、肉体と精神を賭けた戦い。

肉弾 (角川文庫) [ 河崎 秋子 ] 北海道別海町出身の作家・河﨑秋子の第21回大藪春彦賞受賞作。 引きこもりがちの大学生、統率された野犬の群れ、暴虐に生きる熊、 摩周湖の近隣、人が立ち入らぬ森で繰り広げられる文字通り …

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