• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「怪物園」 グロテスクでかわいいという感覚

怪物園 (福音館の単行本) [ junaida ] 子供、特に男の子って、怪物や怪獣、妖怪等々、ちょっとグロテスクで恐いものがやけに好きですよね。 いや、鬼太郎やモンスターズ・インクが世代を超えて愛されているのを見ると、 …

続きを読む


書評「黄金列車」 世界観の堅牢さ

黄金列車 (角川文庫) [ 佐藤 亜紀 ] 戦争という大きなもので見えなくなりがちだけど、 その内側や裏側では個々の意地や諦念、虚無感に使命感、執着、 挙げ切れないほどの感情が当然あります。 軍人も文官も市井の人々も。 …

続きを読む


書評「引き出す力」 コミュニケーションに悩む人のヒントになり得る良書。

引き出す力 相手が思わず話してしまうひとつ上の「聞く力」 「プロ論」シリーズで知られる上阪徹さんの著書。 個人的にコミュニケーションや面談について考える機会が多かったため読んでみましたが、 時に実際に起きたことを交えて書 …

続きを読む


書評「東京都同情塔」 文学は生成AIを内包する。

東京都同情塔 [ 九段 理江 ] 第170回芥川賞受賞作。 パラレルな未来の東京が舞台だけれども、 その東京は想像し得るものです。 ザハ・ハディドの設計した国立競技場が実際に建てられた景色。 きっと多くの方はあの完成予想 …

続きを読む


書評「星の王子さま」 適齢期に読むべき作品。

星の王子さま (集英社文庫(海外)) [ サンテグジュペリ ] こんな有名な本を読まずに中年になってしまいました。 しかし、池澤夏樹が翻訳していることに惹かれ、ついに購入。 示唆に富み、考えは巡り、気づかされることも多い …

続きを読む


書評「死んでいない者」 冷ややかなまでに淡々と。

死んでいない者 (文春文庫) [ 滝口 悠生 ] 滝口悠生の芥川賞受賞作。 通夜に集まった親族たち、あるいは来なかった親族も描いた作品にこの秀逸なタイトル。 死んだ者ではなく、死んでいない者に焦点が当たります。 しかし、 …

続きを読む


書評「17歳のポケット」 老いる自分と老いないかまち。

17歳のポケット (集英社文庫(日本)) [ 山田 かまち ] ふと若い熱情みたいなものに触れたくなって、書店をぶらぶらしていて見つけた 山田かまち「17歳のポケット」の新装版。 きっと多くの方が学生の頃に何らかの形でそ …

続きを読む


書評「ポテト・スープが大好きな猫」 良い塩梅の絵本。

ポテト・スープが大好きな猫 [ テリー・ファリッシュ ] おじいさんと雌猫の穏やかな暮らしを描いた絵本。 翻訳は村上春樹。 かわいらしい表紙と、翻訳者の名前に惹かれて手に取ると、 内容がなんとも良い塩梅なんですよね。 劇 …

続きを読む


書評「お別れの、そのあとで」 ひと時の切なさに心を浸す。

【中古】 お別れの、そのあとで / 伊藤 たかみ / 光文社 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】 伊藤たかみの短編集。 この作家が書く何気ない会話や想いが、すごく好きなんですよね。 沸き立つような感情は心を揺さ …

続きを読む


書評「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」 かっこよさとかわいさが共存することを知った頃。

ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ 展覧会「ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ」の図録。 この展覧会、すごく行きたかったんだけど予定が合わず行けなかったんです。 その後、数年して信藤さんは亡くなり、 …

続きを読む


書評「深呼吸の必要」 タイトル通りのタイミングで読みたくなる詩集。

深呼吸の必要 (ハルキ文庫) 長田弘の代表作ですね。 すごく印象的なタイトルですよね、私は若い頃に「深呼吸の必要」という映画のタイトルで目にしてから、 やけに心に残る言葉です。 映画とこの詩集自体には内容の関連はありませ …

続きを読む


書評「ゴリラはいつもオーバーオール」 見つけるうまさ、言語化するうまさ。

ゴリラはいつもオーバーオール (幻冬舎文庫) 渋谷直角といえば、雑誌「relax」で活躍し、その後、漫画家としても知られるようになったライター。 「relax」がインテリアとしても機能するくらいに支持されていた頃は覚えて …

続きを読む