中編を三つ。
どれも対話が大きなモチーフになっていますが、
いわゆる会話劇のような発言の応酬で物事が動いていくかというと、
対話を拒む、言葉にしない、ということも
また意思の表明であることを内包した作品となっています。
言葉にして口から発するだけが対話ではないのでしょう。

三篇とも死の気配や香りが漂っています。
少し現実的ではないようなストーリーも、小説として美しく結実させるのは
やっぱり著者の巧みなところ。
三篇それぞれが独立しつつ、少し共通するモチーフがあって、一冊としての楽しさもあります。
読みやすい分量で、質も担保された、素敵な中編集です。
特に最後に収められた「花」がロードムービーとして魅力があって好き。
金城一紀といえば、私の世代ではテレビドラマ「SP」「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」
「奥様は、取り扱い注意」「dele」等で脚本家の面に度々触れてきましたが、
やっぱり面白い小説を書く方なんだぁと、しみじみ感じました。

