石井遊佳による芥川賞受賞作。
インドでの日本語教員としてのリアルな日常を書いた作品かな、という導入部。
作者自身にその職業経験があるとのことなので、いわゆるお仕事小説なのかな、
と思いきや、そこからグイっと襟元を掴まれて、
ズルズルと奇妙な世界観に引き摺り込まれます。

挿入されるエピソードはとてもリアリティがあって、
それらが妙な説得力のある非現実的な世界に、違和感なく内包されていました。
馴染みのある出汁に未知の調味料で味付けして、
そこに普段から食べている練り物やら鶏肉やらを入れて煮込んで、
刺激的なスパイスを振りかけたら、不思議なことに調和がとれて美味かった!
そんな印象の読後感。
著者のインドでの日本語教員経験が存分に活かされた怪作であり快作。
読者にインドや日本語教員の特別な知識は必要とされていませんが、
作品にはその知見や経験が存分に反映されています。

