夏葉社の島田潤一郎が、自らの青春時代にあたる90年代から2000年代の思い出を中心に綴る。
私は島田さんよりも少しだけ年下。なので、登場する固有名詞に込められた思いは理解できます。
主にミュージシャンについて、カーディガンズ、フィッシュマンズ、
サニーディ・サービス、フリッパーズ・ギター等々。
著者同様に好きだったバンドもあれば、著者とはまるで違って、
愛聴していると聞けば「いけすかねぇな」と毛嫌いしていたバンドもいます……。
故に語られる記憶に深く共感できることもあるし、毛嫌いの感覚を呼び起こされることもあります。
でも、それは同じような時代を生きたことを意味しているのでしょう。
共通するイメージがなければ、感情は動きづらいものです。

しんみりとするエピソードが多い中、強く共感し、印象に残るのは会えなくなってしまった人々についての文章。
中年ともなれば、人と触れ合った記憶は美しく積もります。
更新されていかない誰かとの日々は、切なく尊い。
ちなみに、綴られた多くの固有名詞が懐かしさを伴う中で、
個人的には現在のサニーディ・サービスが放つ苛烈なまでのエネルギーは
90年代を若者として過ごした人々に知ってほしいと感じています。
途切れた後にまた繋がり強靭に紡がれる様は、想像とまるで違う熱を帯びて正に迸る感じ。

