• 四十代夫婦が綴る書評と雑記
あるいは修羅の十億年 (集英社文庫(日本)) [ 古川 日出男 ]

文庫で500頁を超える大分量。

読み通しましたが、正直なところ、私には何が何やらわからなかったです……。

2016年に書かれた2026年が舞台となっている小説。

2026って、つまり今年か、と運命めいたものを感じて読み始めましたが、

どうにも内容が入ってこないのです。

数人の主人公がいて、それぞれのストーリーが絡み合いながら終結していくという構成には、

胸が躍ったのですが、この絡み具合が思っていたよりもなかなか進まない。

震災後の日本を現実とは異なる姿で、

でも有り得たかもしれないと思わせるリアリティで書くのは流石のパワーで、

期待が高まるのですが、個人的にはどうにも思わせぶりな描写や記述が多く、

大分量が悪い方に作用してしまった印象でした。

面白い場面も多く有りながら、心情や情勢に対する大量の描写が引き込まれた気持ちを冷ます感覚。

東日本大震災を機に、多くのものが変わってしまったのは多くの人々が体感しているはずです。

個人的には、古川日出男という作家の著作にも変化を感じています。

福島県出身の作家なのだから当然のことなのでしょう。

もう幾つもの著作を読んできたし、キャリアの初期には好きな作品も多いです。

ハードカバーで買って大切に本棚に収めている作品もある。

例えば「ハル ハル ハル」は今も書棚に帯付きで収めてあります。

ただ、2026年に読む私は、この小説にはうまく入り込めなかった。

この猛烈なパワーと、繰り返しを意図的に扱う記述、

そういった特徴を楽しむだけの体力も精神力も私にはもうありません。

若い頃ならばこのパワーやボリュームを愛したのでしょう。

きっと誰かの中ではうまく結ばれた像が私には結ぶことができず、

輪郭がブレたままの2026年の小説として読み終えてしまいました。


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