私も文学部卒業ですので、文芸評論というもので身を立てることの難しさは、
人並み以上に知っているつもりです。
ましてや、子供を中心に世の中での読書離れが進む最近では猶更でしょう。
そんな中で、新たに文芸評論家として世間に認知され、
ここまでヒット作を連発する方が登場するのはかなり珍しいのではないだろうか、と
三宅香帆さんの著作を何冊か注目して読んでいます。

さて、それでこの一冊。
古典から近代文学まで、日本文学史に残る作品を現代的な例えを用いたり、推しを愛でるような熱量で語る。
まさに著者のメインフィールドで得意な戦い方をしているのです。
これこそが三宅香帆の真骨頂なのではないか、ととても楽しんで読み通しました。
「土佐日記」「舞姫」等、教科書でもお馴染みの作品を取り上げつつ、
好みや情熱を優先した作品もセレクトしているようです。
発見も再認識もあって、面白い。
文学や読書を切り口に世相や社会にまで題材を広げることで
ヒット作を生み出している方という印象ですが、
やっぱり流石、主戦場で戦った時が最も魅力的だなと感じました。

