先日、野間文芸新人賞を受賞した一冊。
中編を三作収録。
石田夏穂さんの作品、よく読むのですが、
腹の決まり方がかっこいいんですよね。
偽善や欺瞞にメンチを切って、風潮や空気感に悪態をつく感じ。
うっかり露悪的になりそうなところを
いや悪いのは向こうだからね、と毅然とした態度で不敵に振る舞うので、
清々しさが漂う。

「小一二十面相」は文芸誌に掲載された時に読んで、印象に残っていました。
とはいえ、やっぱり表題作が最も人の意識を抉るような力を持っています。
時代性もあり、考えさせられる作品。
アンチルッキズムの時代に生きる我々は、
何が配慮なのか、何が優しい在り方なのか、
正直なところ判然としなくなっている時があるはず。
なんなら批判を受けないように良識を持ちあわせている振りをして、常識のアップデートを済ませた面をしている。
しかし、この小説はそこにある傲慢や本音を引き摺り出してしまいます。
ユーモラスな筆致には鋭い斬れ味もあって、読者の傍観も許してはおかない。
どんどん読める。
ただ、軽妙ではあっても、
軽くて薄いわけではない。
やっぱり注目し続けたくなる作家だと感じました。
今回の受賞で世間的な注目度もさらに上がるのかもしれませんね。

