• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

書評「ランディ・メッセンジャー すべてはタイガースのために」 阪神の元エースは向上心の塊。

ランディ・メッセンジャー~すべてはタイガースのために 2019年シーズンをもって引退した阪神タイガースの元エースが、2018年に書いた本。 私は小学生からの大の阪神ファンで、甲子園球場にてランディ・メッセンジャー(愛称メ …

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書評「一億円のさようなら」 分厚いが軽快に読める大傑作。

一億円のさようなら (徳間文庫) 文庫でも665頁もある白石一文の大作。 20年も連れ添った妻が34億円もの遺産を相続していたことを知った中年男性が主人公。 遺産はほぼ手つかずだが、そのうち2億円のみ株式に投資され、高騰 …

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書評「推し、燃ゆ」 現代的でありながら伝統的でもあるモチーフ。

推し、燃ゆ 宇佐美りんによる第164回芥川賞受賞作。 私の身の回りにも、”推し”という言葉を使う人は数名いて、 その対象は男性アイドルであることが多いです。 同僚や友人からその推しについての熱弁を聞くのは、 存外楽しいん …

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書評「祐介・字慰」 夢に縛られた日常で光るもの

祐介・字慰 (文春文庫) ロックバンド、クリープハイプのボーカルである尾崎世界観の初小説。 「祐介」文庫化に際し、短編「字慰」も併録。 まず「祐介」は私小説風に書かれた作品で、尾崎世界観の本名が「祐介」であることは、 踏 …

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書評「ブラックボックス」 コロナ禍を舞台に懊悩する自我

ブラックボックス 砂川文次の芥川賞受賞作。 主人公のサクマは自転車に跨り、メッセンジャーとして生計をたてています。 同棲相手に苛つきながら、同じような一日を繰り返す日々ではありますが、 自分の仕事が年齢を重ねて体力が落ち …

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書評「こんな日のきみには花が似合う」 優しい言葉と、かわいらしい絵

こんな日のきみには花が似合う 何だか高校生くらいの気持ちを思い出したくなって図書館のヤングコーナーをぶらぶら。 前から気になっていた著者名と、表紙の絵に惹かれ、借りてきました。 蒼井ブルーさんの文に、新井陽次郎さんの挿絵 …

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書評「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」 再び踏み出すまでの試行。

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (河出文庫) 著者はヴィレッジヴァンガードで店長を務め、2023年現在では高円寺にある「蟹ブックス」の 店主である花田菜々子さん。 タ …

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BESS多摩に行ってきました

昭島のアウトドアパークビレッジ周辺を歩いていると、 何やらかわいらしい家が並ぶ一角を発見。 近寄ってみると一風変わった住宅展示場の様子。 思い切って入ってみました。 中には幾棟ものログハウス! この場所は、ログハウスを扱 …

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書評「猫を棄てる 父親について語るとき」 父子の距離感、端正な試み。

猫を棄てる 父親について語るとき (文春文庫) 村上春樹が、長い間、疎遠になっていた父の死を契機に、 父子の関係性や父の生涯について書いた名エッセイ。 一定の距離感や公平性を保ちつつ、時折、私的な思いが垣間見え、 その塩 …

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書評「夫婦でFIRE」 夫婦間の擦り合わせ!

夫婦でFIRE グミ&パン ご夫婦でFIREを目指し達成する過程を、細かく、そしてわかりやすく 書いたFIRE入門本。 普段は小説を読むことが多いですが、昨今の経済状況に不安を感じ、 この本を手に取ってみましたが、とても …

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書評「ルビンの壺が割れた」 違和感を抱いて、ただ読み進める

ルビンの壺が割れた(新潮文庫) 宿野かほる 往復書簡の形式を取った小説です。 ちょっと例えが古いですが「木綿のハンカチーフ」みたいな形式ですね(笑)。 ネタバレを避けようとすれば、 多くを語ることは出来ません。 読みやす …

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書評「熱帯」 探索と思索、ガラリと変わる前後半

「熱帯」森見登美彦。 誰も最後まで読んだ者のいない「熱帯」という小説。 この「熱帯」を手にしたことのある作家の森見氏は沈黙読書会という催しにて、 作品の秘密を知る一人の女性と出会う。 彼女が語る「熱帯」の秘密を追及する集 …

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