• 四十代夫婦が綴る書評と雑記

「絵描きの植田さん」いしいしんじ。
自然の美しさ、険しさ、厳かさが
描かれているが、語りの言葉は優しい。

湖の近くで営まれる好ましい人々の
冬の暮らしは、羨ましく感じます。
オシダさんという男が出てきますが、
この人物がとても魅力的です。
多くは語らないが大事なことは示してくれて、
不用意に踏み込みはしないけれども、
必要があれば寄り添ってくれる、
大胆だけど遠慮がちにも見える世話焼きなおじさん。
このオシダさんの存在が冬を描く小説に
温もりを添えています。

読んでいると気持ちが柔らかく解れる気がしますよ。
寒い季節、読む本に迷っている人がいたら、是非薦めたい一冊です。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です